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29-01-02
ドイツの古城 〜歴史の旅
【第3号 ジグマリンゲン城】
http://burgen.hoops.ne.jp/
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○はじめに
みなさんこんにちは,発行人のぺんたです。みなさんは,ドイツに一体いくつ
の城があると思いますか。答えは,沢山です。1万とも2万とも言われています。
どの城にもその城の歩んだ歴史がありますので,それをみなさんに紹介します。
第3号は,ドナウ川上流にある貴族の名門ホーエンツォレルン家のジグマリン
ゲン城です。ホーエンツォレルン家と言えば,皇帝やプロイセン国王を輩出して
いる名門家系です。
ホーエンツォレルン家については,
http://users.goo.ne.jp/mako_vl/brandenburghohenzollern.html
http://users.goo.ne.jp/mako_vl/hohenzollernzollern.html
で系図を見ると,どういう家柄なのかよく理解できると思います。傍系が沢山あ
るだけに,また大変なんですけど。
●ジグマリンゲン城(Schloss Sigmaringen)
1017年にこの地にローマの塔という名の最初のブルクが建てられたと言われて
います。アルマン人が入植し,ジグマリンゲン村が形成されていたことが調査に
より分かっています。
初めて文献に登場するのは1077年です。ここの城主が皇帝ハインリッヒ四世の
友人として対立国王ルドルフ・フォン・シュヴァーベンと戦います。包囲はかな
り長期に及び,それに対抗しました。
1290年に一旦ハプスブルク家のものになりますが,1325年には既にヴュルテン
ベルク伯爵家のものになっていました。
1399年までジグマリンゲンとフェアインゲンを抵当としてエバーハルト・フォ
ン・ヴェルデンベルクが保持します。
1459年にヨハンとエリザベート・フォン・ヴュルテンベルクがジグマリンゲン
領を買い戻すために救済結婚します。
1460年に皇帝フリードリッヒ三世がジグマリンゲンを封土として与えます。こ
の時代の城の敷地面積は,現在の城の敷地面積とほぼ同じであったことが分かっ
ています。
1526年に最後のヴェルデンベルク家の城主フェリックス・フォン・ヴェルデン
ベルクがアイテル・フリードリッヒ三世・フォン・ホーエンツォレルンの未亡人
と結婚します。
1535年に正式にホーエンツォレルン家の所有となります。
三十年戦争(1618-1648)時,皇帝&カトリック側について戦います。シュロス
は破壊され,耕地は荒れます。そして再建します。
1634年に傍系のホーエンツォレルン・ハイガーロッホ家が断絶したので,その
所有を統合しました。
1827年に宮廷劇場が建設されます。シラーの劇やモーツァルト,ロッシーニの
オペラ等がここで催されたそうです。
1849年12月7日,ドイツ統一の考えに従い,侯爵領を条約に基づいてプロイセ
ン王家に譲渡することを決意しました。城主のカール・アントン侯爵にとっては
かなり重い決断だったようです。
1850年にカール・アントンはラインプロヴィンツとヴェストファーレンの軍政
長官の職に就きます。後にはプロイセンの首相になりました。芸術嗜好の人で,
城の有名なコレクションはこの人が集めたものです。現在の城の外観は,ほぼこ
の人の時代からのもののようです。
1861年に跡取息子がポルトガルとザクセン公爵家の娘と結婚します。
1866年4月20日に次男がルーマニア侯爵になり,1881年3月26日よりルーマニ
ア国王となりました。
1893年にシュロスが火事で焼けてしまいます。ノイバウと呼ばれる部分はこの
ときに焼け落ち,再建された部分です。
現在もその子孫,ホーエンツォレルン侯爵フリードリッヒ・ヴィルヘルムの所
有になっています。
開館時間
5月〜10月:9:00〜16:45
11月,2月〜4月:9:30〜16:30
見学はドイツ語のガイドツアーのみ。1月,12月は休館です。
所在地
Schloss Sigmaringen 72488 Sigmaringen
Tel. 07571-729110 Fax. 07571-729105
公式サイト
http://www.hohenzollern.com/
ドイツ語,英語,フランス語
美しい城館です。
●超手短探訪記
城の内部は床を傷つけないように赤絨毯の上のみを歩く(出来るだけ踏み外さ
ないように)。内部撮影はフラッシュ無しで個人利用のみ可とのこと。
最初の部屋では一対のマクシミリアン式甲冑がお出迎え。歴代当主の肖像画が
描かれている部屋は,人物うんぬんよりも中世後期からの服装の変遷が分かって
面白い。狩猟の間には熊の剥製と,射止めた銃と,その熊を仕留めた時に撮った
と思われる仕留めた熊の上に座ったイカニモな写真。
すべての部屋を紹介したいところだが,その中で特に目を惹いたのは「武器庫」。
所狭しと並んだ3000点に及ぶ武器のコレクション。おなじみハルバードからレイ
ピア,ソード,フレイル,etc.。実用的な武器から,どう見ても実用的でない装
飾用の武器防具まで。ドリルなレイピアとかね。
あ,東南アジア系の武器がある。おっ!日本の甲冑があるよ!!専用にハンガ
ーに掛かってないからぐにゃっとしてるけど。
後ろから聞こえた若いドイツ人男性二人組の話し声:
「おい,見ろよ!中国の鎧があるぜ!!」
(違〜〜うっ!!あれは日本の鎧だバカもん。日本と中国の区別もつかんのか。)
↑↑↑↑
心の叫び
日本の侍とモンゴル兵士の区別もつかないという噂もあるから,無理もないか。
最後のガイドツアーにぎりぎり参加し,ガイドツアーが終わるともう閉まって
いた(;。;)。天気もそんなに良くなかったけど,天気の良い日にゆっくり城
の周りを散歩したいと思わせるところだな。
○基本用語ミニミニ解説
ブルク(Burg)
城砦。中世騎士の時代に主に建てられた,軍事機能に重きを置いた城。居住
性に乏しい。
シュロス(Schloss)
城館。騎士の時代も終わり,軍事機能よりも居住性が重要視されるようにな
った城。
○あとがき
ここは私が行った城の中では超お気に入りの,お勧めの城です。
単に豪華なだけの城と言うものは数多くあれど,ここは品の良い豪華さと言う
か,落ち着いた豪華さがあると言うか,生活の匂いがすると言うか,今生活して
も遜色ないと言うか…。生活を感じさせるところが良いね。言葉で上手く表現で
きないけれど,とにかく素晴らしいと思いました。
この城は午後に行き,午前中は他の城に言ったのですが,午前中に見た他の城
の内容はこの城のあまりの良さに,ぶっ飛びました。
上流貴族の館,かくあるべし!!
展示の仕方が良いのかな。
次号予定,身分は下がって騎士階級,ブロイベルク城。
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発行人:ぺんた
サイト:http://burgen.hoops.ne.jp/
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